こんにちは、Dr. Fellow編集部です。
10月28日(日)に関東医学部勉強会サークルKeMA【キーマ】(以下KeMA)が開催する、「第11回勉強会 Doctor-K ~私、卒業したいので。~」に参加させていただきました。
KeMAは「大学で学べない、より実践的な勉強を主体的に学ぶ」、「他大学の医学部生同士の交流を図る」という目的のために設立された関東の医学生を中心とした勉強会サークルで、「楽しい! 勉強になった! 友だち増えた!」をモットーに、医学生向けに臨床推論などを学ぶ勉強会を2ヶ月に1回の頻度で開催しています。
今回の第11回勉強会は高橋健祐さん(東京大学医学部6年)が代表を務める代の最後の勉強会で、サブタイトルからもわかるように卒業を控えたKeMAメンバーである高橋健祐さんと佐藤淳俊さん(東京大学医学部6年)のお二人が後輩医学生に送るメッセージとしての登壇でもありました。
前半の佐藤淳俊さんによる「CBT4連問を題材とした臨床推論導入」では、全国の医学部4年生に受験が義務付けられているCBTの中で臨床医学を扱った4連問のうち、「胸痛」「めまい」「動悸」の3つの主要徴候を通して、臨床推論の思考過程をわかりやすく解説していました。
はじめに総論としてCBTというテストの仕組みの説明から入り、各論の主要徴候ではCBTレベルで求められる知識から、卒業までには押さえておきたいポイントまでを網羅的に解説する2段組みの形式となっており、CBTには馴染みのない低学年の参加者からCBTを終えて医師国家試験を見据えた高学年の参加者まで、幅広い参加者層が興味を持てるように練られた内容となっていました。
講演にあたって佐藤さん自身がCBTの4連問を100題以上解き直したうえで問題の難易度を独自の基準で多角的に評価し、臨床推論という観点で特に勉強になると考えられる問題を絞ったうえで、会場とともに1つ1つの症例を丁寧に分析していました。
講演全体を通して会場を巻き込んだ進行で会場を飽きさせない工夫が随所に盛り込まれており、あっという間の90分でした。
後半の高橋健祐さんによる「Illness Scriptを身につけよう」では、臨床現場で速く正確に診断をつけるために必要となる「診断」と「診断の根拠」のセットを意識した臨床推論の進め方を、1つの症例を通じてグループワーク形式で学びました。
参加者は年次が均等に分かれるように4~6人のグループとなり、主訴のみを知った段階での問診項目からどういった鑑別を想起し、どういう検査項目をオーダーするのかといった思考過程をそれぞれのグループ内で共有しながら、全体で意見交換をして進行していきます。徐々に検査結果が開示されていき、鑑別疾患を各グループであげながら最終診断へと至る過程は、臨床現場でのカンファレンスのようなリアリティがありました。
グループワーク時には低い年次からの意見が活発に出るように、高学年のモデレーターが各グループに配置されており、学年に隔たりがなく参加できるように工夫されているのが印象的で、各グループ内での議論はもちろん全体での意見交換も活発になされていました。また高橋さんご自身がいままで関わってきた勉強会で学んできた知識を後輩たちに伝えていこうという強い思いも感じとることができました。
登壇者のお二人は医学部6年生にして、すでに臨床現場で必要とされる視点で症例を捉えていることに感心したと同時に、医学生の段階でお二人のような先輩を間近に勉強できるKeMA参加者を羨ましく思いました。
1つペーパー試験をとっても「この患者を自分が経験した時はどういったアプローチが必要となるか」という観点から試験問題をとらえることができれば、1つの題材から科をまたいだ知識を有機的につなげて考えることができます。
大学内での講義では、ともすると単調な知識の整頓に終始しがちな各論の授業の知識も、勉強会で臨床推論のロールプレイを通して最終診断に至るまでの過程で運用してみることで、病院実習の段階からすぐに活かせる統合した知識に変えていくことができます。
さらに病院実習で実際の患者様の診療を通してリアルな経験を積むことができれば、それは生きた知識となり自分自身のIllness Scriptを身につける手助けになります。
こういった思考の型の重要性を医学生の特に低学年の段階から身につけることができていれば、どれだけ医学部で学ぶ6年間を有意義に過ごすことができたでしょうか(自分の自由奔放な学生時代を省みてしまいます)。
勉強会の終盤ではKeMAの代表が高原彩佳さん(千葉大学医学部3年)へと継承され、大盛況の内に閉会となりました。これからのKeMAの更なる発展に期待しています!
次回の第12回KeMA勉強会は「KeMAランド 国試の魔法教えます。~意識障害を乗り越えろ!!~」と題して、民谷健太郎先生を講師に開催されます。
民谷健太郎先生は札幌東徳洲会病院 救急科および旭川医科大学 教育センターの非常勤講師として医療・教育の現場で活躍されている傍ら、株式会社まなびのデザインを設立し国試対策の人気メールマガジン、通称「国試のトリセツ」を配信されています。第12回KeMA勉強会は、このメールマガジンが羊土社より「医師国家試験の取扱説明書」として書籍化されたことを記念するものでもあり、国家試験の受験生にとってはもちろん、これから国家試験対策を考える医学生にとって、もってこいの内容になっています。
会場は昭和大学16号館3階(最寄り駅:旗の台駅)、日程は11/24(土) 15:00~18:00(その後に懇親会を開催)、参加費は1000円(懇親会費別途)となっています。
参加申込やその他の最新情報はKeMAのFacebookイベントページをご確認ください。
この記事でKeMAの勉強会に少しでも興味を持った方は一度参加してみることを強くおすすめします。
初めての方も参加しやすい雰囲気ですし、大学の講義のみでは物足りなさを感じている医学生は良い刺激を受けることができるはずです。
最後になりましたが、今回の取材の依頼を快諾いただきました高橋さんはじめ、当日ご対応いただきましたKeMAスタッフの皆様に厚く御礼申し上げます。
ご意見やご指摘がございましたら、お気軽にコメントやお問い合わせフォームからご連絡ください。
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