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急性咽頭炎の基礎知識
起炎菌はA群β溶血性連鎖球菌が最多である。
細菌性咽頭炎のうち、小児例の15-30%、成人例の5-10%を占める。
急性咽頭炎の診断
急性の咽頭・扁桃の腫脹のうち、炎症が咽頭に強い場合は咽頭炎、口蓋扁桃の腫脹が強い場合は扁桃炎であるが、実際は両者を併発していることも多い。
感冒、インフルエンザ、伝染性単核球症などを除外する必要がある。
Centor Score & McIsaac Score
慣例的に急性咽頭炎のスコアリングにはCentor Scoreを用いることが多いが、年齢で補正をかけるMcIsaac Scoreについても合わせて掲載する。
Centor Score
・発熱(38度以上) (1点)
・前頸部リンパ節腫脹(1点)
・扁桃白苔 (1点)
・咳嗽がない (1点)
(上記 Centor Score)
上記スコアを年齢によって補正(McIsaac Score)
・3-14歳 (+1点)
・15-44歳 (0点)
・45歳以上 (−1点)
Centor ScoreまたはMcIsaac Scoreで
0~1点→検査なし、抗菌薬投与なし、対症療法。
2~3点以上→溶連菌感染を疑い迅速検査施行し、陽性なら抗菌薬投与。
4点以上→溶連菌感染の可能性が高い。 検査施行せずに抗菌薬投与。
迅速検査の有用性
溶連菌迅速検査の感度は70-80%、特異度90-95%
成人の急性咽頭炎の薬物治療
溶連菌感染症を疑う場合の抗菌薬
・ペニシリンアレルギーがない場合
(例1)ペニシリンG(バイシリンG®)1g/回 1日4回 10日間
(例2)アモキシシリン(サワシリン®、パセトシン®)250mg/回 1日4回 10日間
・ペニシリンアレルギーがある場合
(例1)レボフロキサシン(クラビット®)500mg/回 1日1回 10日間
(例2)クリンダマイシン(ダラシン®) 300mg/回 1日3回 10日間
※EBウイルスによる伝染性単核球症(症状・所見が似ている)の場合、高率に皮疹を起こすので、ペニシリンを投与する場合は伝染性単核球症を除外しておくこと。
咽頭痛に対する対象療法
(例1)NSAIDs(ブルフェン® )1回200mg頓用 1日3回まで
(例2)桔梗湯 7.5g 分3 毎食前
小児の急性咽頭炎の抗菌薬選択
溶連菌感染症を疑う場合の抗菌薬
・ペニシリンアレルギーがない場合
(例)アモキシシリン(サワシリン®細粒[10%])20~40mg/kg 分3 10日間
・ペニシリンアレルギーがある場合
(例)エリスロマイシン(エリスロシン®ドライシロップ10%[100mg 1g])
25~50mg/kg 分3 10日間
咽頭痛に対する対象療法
(例)アセトアミノフェン(カロナール®細粒[20%])10mg/kg 頓用 4-6時間あけて
1日総量として60mg/kgを限度とする
本記事は適宜、修正加筆しています。ガイドラインの改訂や新たなエビデンスの発見などがありましたら、お気軽にコメントやお問い合わせフォームからご連絡ください。
(参考文献)
#急性咽頭炎 #急性扁桃炎 #初期対応
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