本態性高血圧症の基本

 

内科外来での管理が中心となる本態性高血圧について押さえておくべき基本をまとめました。

 

診断基準

収縮期血圧、拡張期血圧のいずれかが下記以上のもの:

  • 診察室血圧:140/90mmHg
  • 家庭血圧:135/85mmHg
  • 自由行動下血圧:130/80mmHg

健康診断時や家庭血圧など複数の測定機会で高血圧を認めることを確認し、白衣高血圧、二次性高血圧を除外することで本態性高血圧と診断する。

※白衣高血圧⇨家庭血圧は正常、診察室血圧は高い

※仮面高血圧家庭血圧は高い、診察室血圧は正常

 

二次性高血圧の鑑別

鑑別疾患

  • 内分泌性高血圧(原発性アルドステロン症、腎血管性高血圧症、褐色細胞腫、クッシング症候群)が疑わしい場合は腹部CTや腎血管エコー等を追加
  • SAS(閉塞性睡眠時無呼吸症候群)を疑う場合は肥満体型ではないか、日中の傾眠傾向はないか、を確認

上記鑑別疾患を念頭に、血算、生化学、検尿、血中レニン活性、血中アルドステロイン濃度、血中コルチゾール、血中ACTH、血中カテコールアミン3分画、尿中メタネフリン2分画、などの検査を施行する。

上記鑑別診断を除外したうえで、定義を満たすものを本態性高血圧と診断する。

 

合併症評価

高血圧で通院中の患者は脂質異常症、糖尿病、腎機能障害・肝機能障害などの合併症のリスクがあるため、定期的がフォローアップが必要となる。

上記合併症を念頭に、ECG、胸部Xp、眼底検査、eGFR、たんぱく尿/クレアチニン比、尿中アルブミン/クレアチニン比、などを定期的に確認する。

 

治療

治療目標

慢性期患者の管理目標:一律で130/80mmHg未満

後期高齢者、糖尿病、脳血管、冠動脈疾患、糖尿病、CKDいかなる因子があっても一律で上記を目標とすることが望ましい。

生活習慣の改善

まずは生活習慣の改善を積極的に勧める【およその降圧程度】

  • 減塩(6g / 日 未満)【2-8 mmHg】
  • 野菜・果物の積極的摂取【8-14 mmHg】
  • コレステロール・飽和脂肪酸を控え、魚油の摂取【8-14 mmHg】
  • 適正な体重の維持(BMI 18.5-24.9 kg/m2)【5-20 mmHg / 10kg】
  • 毎日30分以上の有酸素運動【4-9 mmHg】
  • 節酒(男性:20-30ml / 日以下、女性:10~-0ml / 日以下)【2-4 mmHg】

薬物治療

上記の生活習慣の改善のみでは目標の血圧まで降圧できなかった場合に、降圧薬による治療を考慮する。

内服の選択の基本は下記の通り。

既往に応じての積極的な選択と禁忌は下記表を参照。

  • A : ARB or ACE阻害薬
  • C : Ca拮抗剤
  • D : 利尿薬(Diuretics)

→A単剤でスタートし、順次A+C、ついでA+C+Dと多剤併用していく。

→それ以降の難治例は利尿薬を重ねることやα-blockeやβ-blockerを追加することを考慮する。

内服開始時は2週間で再来指示、起立性低血圧等の過度な降圧を示す兆候がないかを確認。

降圧目標を達成し状態が安定した場合は4~8週間程度の間隔で定期受診とする。

 

各種降圧薬の一例

Ca拮抗薬
アムロジン®[2.5mg] or ノルバスク®[2.5mg]  1日1回朝 2.5~5mgより開始( 最大1日10mgまで)

ARB
ニューロタン®[25mg] 1日1回 25mgから開始、通常1日50mg(最大1日100mgまで)

ACE阻害薬
レニベース®[5mg] 1日1回 5~10mg

サイアザイド系利尿薬
ナトリックス®[1mg]1日1回朝 0.5~1錠 0.5mg/日から開始(最大2mg/日)

 


本記事は適宜、修正加筆しています。ガイドラインの改訂や新たなエビデンスの発見などがありましたら、お気軽にコメントやお問い合わせフォームからご連絡ください。

(参考文献)

日本高血圧学会 高血圧治療ガイドライン

Hypertension. 2003 Dec;42(6):1206-52. Epub 2003 Dec 1.

Clinical management of primary hypertension in adult. NICE clinical guideline 127 issue date Aug 201

Systolic Blood Pressure Intervention Trial – SPRINT

 

#高血圧 #内科外来

 

 

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