喘息発作の初期対応

救急外来で遭遇する頻度の高い喘息発作の初期対応について、本邦のガイドラインと諸外国の報告を合わせてまとめました。

喘息発作の治療目標

来院してから4時間以内に「症状の改善」あるいは「PEF or FEV1 > 70%」を目指す。

  • PEF or FEV1 > 70%を目安に帰宅。その他は必要に応じて入院。
  • PEF or FEV1 < 40%、PaCO2>42mmHg、PaO2<60mmHg、意識障害は重症として入院を。
※PEF(Peak Expiratory Flow): ピークフロー(努力性最大呼気流量)。太い気管の閉塞をよく表す指標で、喘息の日常管理における気道狭窄の程度をモニターする簡便な指標として用いられる。
※FEV1(Forced Expiratory Volume in one second): 一秒率。最大量の吸入を行った後に強制的に呼出した際の最初の1秒間の努力呼気量。

喘息発作における初期評価

  • 病歴聴取、聴診、心拍数・呼吸数
  • PEF or FEV1の測定、SpO2の評価
  • 血液ガスの確認

 

喘息発作の全症例に共通するマネジメント

酸素投与でSat ≧ 90%を維持する
※呼吸停止の危険性があれば挿管・人工呼吸管理も考慮

 

軽症~中等症の喘息発作:PEF or FEV1 ≧ 40%

①SABA吸入: 最初の1時間は20分ごとに吸入。その後は60分ごとに吸入とする。

(例1)ベネトリン®吸入液0.5mlL(2.5mg), 生食5mLをネブライザーで吸入
(例2)サルタノール®インヘラー100μg吸入 (適宜スペーサーを使用する)

②必要に応じてステロイド投与を考慮

(例1)外来: 経口プレドニン®40~60mgを7日間
(例2)病棟: ソル・メドロール®40mg 静注 / 12-24h

 

重症の喘息発作:PEF or FEV1 < 40%

①SABA+抗コリン薬(イプラトロピム)吸入: 最初の1時間は20分ごとに

(SABA 例1)ベネトリン®吸入液0.5mlL(2.5mg), 生食5mLをネブライザーで吸入
(SABA 例2)サルタノール®インヘラー100μg吸入(適宜スペーサーを使用する)
(抗コリン薬 例)イプラトロピウム(アトロベント®エアゾル20μg)1回2噴霧(40μg)

②ステロイド投与

(例1)経口プレドニン®40~60mgを7日間
(例2)病棟: ソル・メドロール®40mg 静注 / 12-24h
(例3)ICU: ソル・メドロール®80mg 静注 / 6-12h

※最重症例でSABA吸入がうまくいかない患者はアドレナリン0.1%を0.3mL皮下注も考慮
※アスピリン喘息の場合40~60%相当の症例でコハク酸エステル型(サクシゾン®、ソル・コーテフ®、ソル・メドロール®、水溶性プレドニン®など)で発作誘発の危険があるため、リン酸エステル型(ハイドロコートン®、リンデロン®、デカドロン®など)を使用する。リン酸エステル型であっても、急速静注では添加物による発作誘発の可能性がある。初回投与時や、アスピリン喘息の有無が不明の場合は1時間程度かけて点滴投与する。

 


本記事は適宜、修正加筆しています。ガイドラインの改訂や新たなエビデンスの発見などがありましたら、お気軽にコメントやお問い合わせフォームからご連絡ください。

(参考文献)

喘息予防・管理ガイドライン2018
#喘息 #救急外来 #診断基準 #ガイドライン #ドクターフェロー

 

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